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福永武彦訳『今昔物語』日本古典文庫11 河出書房新社


突然、博雅の三位の話が読みたくなった。よく古文の教科書に載っている、朱雀門の鬼とセッションしたり、篳篥の音で泥棒を改心させたりする、あの博雅の三位である。実在の人物で、イロイロ問題がある人だったようだが、物語の登場人物としては、なかなか良い味を出している。ということで、図書館で『今昔物語』を借りてきた。

今昔物語はあまり難解ではないので古文でもよかったのだが、今はあまり気合いを入れて読む根性もないので、福永武彦の現代語訳のにした。『今昔物語集』には1000ちょっとの話が収録されているが、私が借りた河出書房のには、その中から160ほどの話が採られている。一話あたり平均して2~3ページほどと短い。特に小説として書かれたものではなく、著者はおそらく伝聞や読んだものを事実と考えて記述したと思われる。そのため、物語を読んでいると言うよりは、ゴシップ集とかネットで面白動画を見ているような感覚に近い。現代人の目から見ると違和感がある部分もあるが、それもまた面白い。訳も分かりやすくて良かった。思わず一気読みしてしまった。

読み終えて、冒頭に書いた朱雀門の鬼の話も、泥棒に入られる話も載ってなかったぞとか思って調べてみたら、両方とも今昔物語じゃなかったのね。あはは。まぁ、面白かったからよし。ワタシ的には「親子で馬盗人を追いかける話」が好きだなぁ。これも有名な話で、久々に読んだけど、あんな風に息の合った人間関係っていいな。


更新:2012.11