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ロザリーという女


書誌

シリーズ
黄いろい場所からの挿話 IV
所収
『霧の聖マリ』中央公論社, 1975
『霧の聖マリ』中央公論社(中公文庫), 1992
初出
『海』6巻7号(1974年7月号)

設定

舞台
パリ
アイテム
ロザリーの飼っていた黄色いインコ
時代
執筆時:1960年ごろ~1962年ごろ
→菫IX・菫XIVで、1958年~1959年ごろに変更

人物

私(私3)
日本人。大学に籍があり、翻訳の仕事を始める前。
エマニュエル
私3の恋人。名前のみ登場。
ロザリー
私3と同じアパルトマンに住む。1980年生まれ。
ロザリーの夫
屋根葺き職人。人民戦線の戦闘員だったが、戦争中に病没。
ミッシェル
ロザリーの息子。組合運動・政治団体に参加して早く家を出る。戦争が終わってまもなく、組織に追われて死ぬ。
アガタ
ミッシェルの幼なじみ。病院で検査員をしている。
義足の男
時どきロザリーを訪ねてくる男。
管理人
ロザリーのいるアパルトマンの管理人。イタリア人。
管理人の妻
ユダヤ系ポーランド人。

考察

本挿話の年代

本文中の出来事をまとめると、おおよそ次のようになっている。
私3がロザリーのいるアパルトマンから引っ越す
2年後に私3がエマニュエルに出会う
同じころ、義足の男がミッシェルのかたきを討つ
間もなくロザリーが亡くなる

これから、本挿話には2年間ほどの時期が描かれていることが分かる。

また、「何年生れですか?」「一八九〇年さね」よりロザリーは1890年生まれで、その彼女がすでに七十を越えていたのであるから、本挿話は1960年以降である。

さらに、黄IIの考察で考えたように、黄IIが1958年春の出来事だとすれば、本挿話がそれと離れる時期だと不自然であろう。そのため、ここでは、1960年以降で最も早い時期、つまり1960~1962年を想定して書かれたとしておく。

のちに、菫IXで私3がエマニュエルと出会ったのが1958~1959年ごろ、菫XIVで私3がフランスへ渡ったのが1958年ごろに、設定しなおされたと考えられる。それに伴い、本挿話も1958年~1959年ごろに変更ということになる。


更新:2013.03