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彩られた雲


書誌

シリーズ
赤い場所からの挿話 XII
所収
『夏の海の色』中央公論社, 1977
『夏の海の色』中央公論社(中公文庫), 1992
初出
『海』8巻10号(1976年10月号)

設定

舞台
東京
アイテム
冴の赤い鼻緒の下駄・夕焼空の赤
時代
私2が旧制中学3年の3月~4年の8月ごろ

人物

私2
本文中では「私」。
3月に退院して私2や仁木と一緒に住む。
仁木
本文中では「叔父」。母の弟。小説家。
真岡貞三
共産主義者。アメリカに亡命中。
真岡貞三の妻
私2と同じ路地に住む。
真岡
真岡貞三の息子。私2と同じ中学の2年生。
真岡の妹
最難関の女学校に通っている。
鬼塚冴
私2と同じ路地に住む足の悪い女の子。
金屋
私2と同じ路地に住む男の子。実業学校2年生。6人兄弟の長男。
沢次郎
経師屋。町内会役員。

考察

私2の学年

私2が路地の家に引っ越したのは、ちょうど三月の終りの晴れた日であった。学年については、私と一年違いで、実業学校の二年だった。より、旧制中学3年生と分かるが、それが上記の3月のことなのか、4月になって年度が替わった後なのか分からない。しかし、年度替わり後とすれば、中3の1学期に私2は路地の家にいたことになり、赤11 と合わなくなる。そのため、本挿話は、私2が旧制中学3年の3月に始まったと解釈できる。

挿話の主要部分は、年度替わり後なので、私2が旧制中学4年のときのエピソードということになる。これは、本文中の間もなく高等学校の受験に向わなければならない年の者が四修じゃ、東京近辺の高等学校は無理だからね。の記述と合致する。

挿話が終わるのは、一夏鹿児島で暮らし、勉強でも下検分でもなく、従兄弟たちと海で泳いだり、馬に乗ったりして東京に戻ってみるとより、旧制中学4年の夏休みの終わり、8月ころであることが分かる。


更新:2012.12