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春の潮


書誌

シリーズ
橙いろの場所からの挿話 XIV
所収
『雨期の終り』中央公論社, 1982
『人形クリニック』中央公論社(中公文庫), 1992
初出
『海』12巻3号(1980年3月号)

設定

舞台
北陸の町(金沢)
アイテム
居酒屋の娘がしていた襷の橙色の紐
時代
私2が大学卒業直後の3月

人物

私2
本文中では「私」。
名前のみ登場。私2と一緒に住んでいる。
良子
私2の従姉。
英二の父
名前のみ登場。本文中では「お父さま」。
英二の兄
名前のみ登場。本文中では「健ちゃん」。私2の従兄。良子の弟。
英二
名前のみ登場。本文中では「英ちゃん」。私2の従兄。良子の弟。私2より2つ年上。
高村富士雄
良子の夫。師団司令部に勤める陸軍大尉。
石崎中尉
名前のみ登場。高村富士雄の部下。
多恵
名前のみ登場。私2の従姉?
田村咲耶
名前のみ登場。
田村順造
名前のみ登場。
居酒屋「滝野」の娘
大沼直衛
私2の友人。男爵家の若当主。

考察

私2の学年

本文中のでも、もう三月に入っているしぼくはやっとこさ、学生生活が終るんだけれどより、私2が1年休学した後、入学から5年後に大学を卒業した3月の出来事と考えられる。

舞台

舞台となる町の名は書かれていない。推定する材料となるのは、本文中の北陸の師団所在地電車通りまで一緒に歩いた翌日、私は朝九時半の列車で半島の旅に立った。(中略) 五時間ほどで終点の漁師町に着いた。「いいえ、違います。半島の先はもっとずっと先です。バスであと五時間はかかります」の記述である。これから、師団が駐屯していること、市電が走っていること、近くに鉄道の通った大きな半島があることが分かる。

北陸で師団が駐屯していたのは、金沢市と高田(現上越市)のみである。上越市の近くには、鉄道の通った大きな半島はないので、本挿話の舞台は金沢市ということになる。金沢市であれば、市電も走っており、昔から小京都なんて言われてますがの記述もしっくりくる。最後に出てくる「半島」は能登半島となる。


更新:2012.12