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山峡へ


書誌

シリーズ
橙いろの場所からの挿話 IV
所収
『雷鳴の聞える午後』中央公論社, 1979
『雪崩のくる日』中央公論社(中公文庫), 1992
初出
『海』10巻2号(1978年2月号)

設定

舞台
山国の都市(松本)
アイテム
中里栄と初山草人の橙色のセーター
時代
私2が旧制高校1年の年度末

人物

私2
旧制高校1年。駅裏の素人下宿から郊外の農家に移る。
秋山貞二
私2が通う高校の一年先輩。理乙。
鳥見茂
私2が通う高校の同級生。本文中には「鳥見」と書かれ、名は出ない。
中里栄
山国の都市に住む小説家。
中里あつみ
中里栄の娘。20前後。
平林善六
小説家志望の青年。中里栄の弟子。
初山草人
画家・詩人。郊外の山小屋に住む。
中野・植村・重田
私2が通う高校の文芸部のメンバー。
栄子
駅裏の素人下宿の娘。

考察

私2の学年

私2の学年について直接の言及はないが、最終の学期試験が終ってから、年度末であることが分かる。一方、橙V で 秋山が卒業する春に、秋山とともに谷間の町を訪れるエピソードが描かれるが、これは本挿話とは別の年である。そのため、本挿話は、私2が1年の年度末のことだと考えられる。

ほか

本文中に私は夏に秋山貞二と西の山脈を縦走したことがあったが、東の山峡の奥に拡がる草原状の高原には、まだ出かけたことがなかった。とある。西の山脈は北アルプス、高原は美ヶ原と思われる。

一方、橙IV に、こんど仲間で計画されている王ヶ鼻へのピクニックに話を切りかえた。とある。王ヶ鼻は美ヶ原の一角にある2008メートル峰で、橙IVの季節は晩秋~初冬と考えられる。晩秋以降に2000メートルクラスの山へ行くのは、ピクニックという感覚ではないように思う。

それはともかく、本挿話でまだ出かけたことがなかったということは、このピクニックは中止されたのだろうか。


更新:2012.11