本棚>ある生涯の七つの場所ノート>挿話

踊るシヴァ


書誌

シリーズ
藍いろの場所からの挿話 XIV
所収
『椎の木のほとり』中央公論社, 1988
『椎の木のほとり』中央公論社(中公文庫), 1993
初出
『海』16巻5号(1984年5月号)

設定

舞台
パリ
アイテム
ギメ東洋美術館の踊るシヴァの像の背景の藍いろのビロード
時代
1946年以降

人物

ゲオルグ
本挿話の主人公。ドイツ系フランス人。
ルネ・フェロン
もと国際旅団。フランス人。パリで書店を経営している。ゲオルグの大学時代の友人。
クラウス・シュトリヒ
もと国際旅団。ノルウェイ人。
マチュウ・スィヤール
もと国際旅団。フランス人。フェロンとは高校以来の親友。
オディール・スィヤール
マチュウ・スィヤールの妹。
バジル
もと国際旅団。フランス人。もと鉱山技師。父はフランス鉄橋院の技師。
マルティン・コップ
もと国際旅団。ドイツ人。画家。
ペーター・シュルツ
もと国際旅団。ドイツ人。飛行士。
ミゲル
もとスペイン政府軍民兵。北の鉱山で働いていたスペイン人。
マルグリット
ゲオルグのノルマンディーでの下宿先。フェロンの乳母の遠縁。

考察

本挿話の内容

本挿話は、オディール・スィヤールの事件をきっかけに、回想シーンを多用してゲオルグのこれまでの足取りをまとめた内容になっている。同時にミゲルについて語り、ミゲルが復讐のためにゲオルグらを追っていることが語られ、黄I黄VIII菫Vの説明になっている。

本挿話の時期

本挿話は、ゲオルグの半生を、特に内面的な変化を中心に述べているので、扱う時期も長期間にわたっている。記されている出来事を順に記すと、およそ以下の通りである。

大学時代:フェロンと知り合う
彼は大学でフェロンと友達になり
地方の官立学校の教授になる
彼は内戦に参加するまで勤務していた地方の官立高校の教授の職に戻る気持になれなかった。
スペイン内戦に参加
スペイン内戦に参加した時期がフェロンのほうが早かったのは
スペイン内戦から離脱
それだけに内戦から離脱したあとの苦悩もフェロンより深刻だった。
半ば隠遁生活を送る
フェロンはその間ゲオルグが転々と居を変えながら、フランス社会に復帰するのを助けた。
1939年9月:フェロン書店に入る
ゲオルグが最終的にフェロンを助けて出版業務に携わる決心をしたのはドイツ軍のポーランド侵入であった。
1940年6月:フェロン書店を経営する
フェロンがボルドーに移り、ゲオルグがフェロン書店を経営することになった。
1946年1月or3月:バジルと再会する
たまたまこの冬に大雪が降った日―覚えているかな、シャンゼリゼもチェーンを巻かなければ車が走れない日があった
ノルマンディーに隠遁
そこはノルマンディーの奥まった村で
1946年8~9月:フェロンと会談
夏が終る頃になって、フェロンから手紙がきて、
モンパルナスのホテルに住むようになる
ゲオルグがモンパルナスの裏町のホテルに住むようになったのはそれから間もなくであった。

この後、オディールの事件が起こるが、これは1946年以降ということ以上は分からない。

オディールの事件の年代が本挿話の年代であるので、結局1946年以降と言うよりほかない。


更新:2013.02