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雨の逃亡者


書誌

シリーズ
藍いろの場所からの挿話 IX
所収
『椎の木のほとり』中央公論社, 1988
『椎の木のほとり』中央公論社(中公文庫), 1993
初出
『海』15巻6号(1983年6月号):初出時のタイトルは「逃亡者」

設定

舞台
スペイン・カタルーニャ地方の地方都市
アイテム
パブロの運転する藍いろのトラック
時代
1938年の秋

人物

ルネ・フェロン
国際旅団兵士。フランス人。パリで書店を経営している。
ルネ・ローラン
政府軍兵士。フェロンの処刑にあたる。フェロンの友人。
マチュウ・スィヤール
国際旅団兵士。フェロンの処刑にあたる。フェロンとは高校以来の親友。
ルイ・ムーラン
国際旅団兵士。フェロンの処刑後検死をする。
パブロ
政府軍兵士。輸送班。
クライン
革命委員。ドイツ人。元市役所職員。
エゴン
クラインの副官。
ゲオルグ
革命委員。旅団長。
ウラノフスキ
政府軍兵士。フェロンの処刑後、死体を運ぶ。

考察

本挿話の年代

雨に打たれて黄ばんだポプラの並木のより、季節は秋と思われる。また、バルセロナで革命の中の革命といわれた電話局攻撃事件が起るとより、1937年5月以降であることが分かる。スペイン内戦の期間であるのは明らかなので、候補となるのは1937年秋・1938年秋であるが、本挿話の記事からはどちらとも決められない。

しかし、本挿話のその後を描いた藍XIIに、ルイ・ムーランの台詞として二年も革命のために生命を投げだしてきたおれたちをと書かれているので、彼が国際旅団にいたのは2年前後と考えられる。となると、スペイン内戦勃発から2年以上経った時期ということで、本挿話は1938年秋ということになる。

本挿話の場所

挿話の年代が1938年秋ならば、政府軍の勢力範囲で、フランス国境と接しているのはカタルーニャ地方しかない。これは、本文中の「じゃ、ヘローナのほうへやってくれないか」からも裏付けられる。ヘローナ(Girona または Gerona)はカタルーニャ州でフランスに接したジローナ県の中心都市である。


更新:2013.02