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野の喪章


書誌

シリーズ
藍いろの場所からの挿話 VI
所収
『国境の白い山』中央公論社, 1984
『国境の白い山』中央公論社(中公文庫), 1992
初出
『海』14巻10号(1982年10月号)

設定

舞台
ロベールとホアンのいる前線:スペインのどこか
ロベールの話の舞台:トゥールーズ
ホアンの話の舞台:バレンシア→マドリード
アイテム
ロベールの藍色の胴乱
時代
ロベールとホアンのいる前線:1937年または1938年の春
ロベールの話の時代:1934年または1935年
ホアンの話の時代:1930年前後~1936年

人物

ロベール
本挿話の主人公。政府軍兵士。フランス人。もと植物学者で学校教師。アデルの従兄。
ホアン
本挿話の主人公。政府軍兵士。スペイン人。
アデル
フランス人。ロベールの従妹。
アンリ・ルブラン
アデルの夫。実業家。
ミッシェル・ペリエ
アデルの恋人。
イサベラ
ホアンのもと恋人。

考察

挿話の構成

挿話は、スペイン内戦の前線で、ロベールとホアンがそれぞれの経験を話す構成となっている。

ロベールとホアンのいる前線の場所と時代

本文中に首都の包囲戦がはじまる前に病院で死んだとあるので、マドリードの包囲戦が始まった後である。包囲戦は1936年11月には始まっているので、それ以降の内戦終結までの期間のいずれかである。本文中から、政府軍が攻勢をかける力を持っている時期と思われるので、1938年後半以降ではないと考えられるが、それ以上の手がかりがない。挿話中に菫やたんぽぽの描写があるので、季節は春である。

また、場所についても後になって、味方の作戦指導部が一時的にここを放棄して、戦線の再編成を計ったことが誤りであると認められた。この小都会を放棄したことは、実はこの地方全域を放棄することを意味したのだった。とあるのが唯一の手がかりだが、これだけでは特定できない。

であるので、ロベールとホアンのいる前線の場所は不明、時代は1937年または1938年の春である。

ロベールの話の場所と年代

挿話の中でロベールが語る話は、緑VIの挿話を別の人物が語ったものである。緑VIは1934~1935年、恐らく1934年のトゥールーズでの出来事である。

ホアンの話の場所と年代

本文中に書かれているとおり、バレンシアおよびマドリードが舞台となっている。

イサベラが亡くなったのは、首都の包囲戦がはじまる前で、あの頃はもう花屋なんてなかったので、内戦が始まってから、マドリード包囲戦が始まるまでの間、1936年7月~11月の間である。おれがイサベラと会ったのは、もうそれから五年もたっていた。より、イサベラの失踪はその5年ほど前、さらにそんなふうにしておれたちは一年ほど付き合っていた。より、ホアンとイサベラが出会ったのはそのさらに1年ほど前である。

以上より、ホアンの話は1930年前後にバレンシアで始まり、1936年のマドリードで終わっている。


更新:2013.02