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燕の飛び立つ日


書誌

シリーズ
藍いろの場所からの挿話 IV
所収
『国境の白い山』中央公論社, 1984
『国境の白い山』中央公論社(中公文庫), 1992
初出
『海』14巻4号(1982年4月号):初出時のタイトルは「鳥たちの飛び立つ日」

設定

舞台
カタルーニャ地方の谷のまん中の丘にある村
アイテム
ディオニジョの藍色のセーター
時代
1938年春~秋

人物

ウーベルト
本挿話の主人公の少年。
アメリャ
ウーベルトの母。教会の鍵番。夫が出て行って以来、洗濯屋をしている。
ディオニジョ
ウーベルトの父。アメリャの夫。政府軍側で内戦に参加するために村を出て行く。
ロドリゲス
村の教会の神父。
アンナ
司祭館の仕事をしている老女。
エンリケ
ディオニジョの職場の仲間。一緒に村を出る。
ミゲル
ディオニジョの仲間の敗残兵。アメリャに宿を借りる。
足を怪我した男
ディオニジョの仲間の敗残兵。アメリャに宿を借りる。

考察

挿話の場所と年代

本挿話は、ディオニジョが内戦に参加するために村を出て行った後の、アメリャ・ウーベルト母子を描いている。

本文中の国境までもう一息さより、舞台の村はフランス国境近くと思われる。また、ウーベルトはもう父の声を忘れていたから、ディオニジョが村を出て行ってからしばらく経っていることが分かる。フランスとの国境地帯のうち中~北部は、内戦が始まった2~3か月後の1936年9月には反乱軍の手に落ちていることを考えると、舞台の村は南部のカタルーニャ地方の可能性が高い。

春が終って暑い夏のあいだもう秋がきていてから、挿話の中心は同じ年の春~秋であることが分かる。その秋に、政府軍が劣勢となり、ミゲルなど外国人志願兵が国外脱出をしている。国際旅団の解散は1938年9月であり、本挿話もこの年であると思われる。


更新:2013.02