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勝利の女神の翼の部分


書誌

シリーズ
藍いろの場所からの挿話 II
所収
『雨期の終り』中央公論社, 1982
『国境の白い山』中央公論社(中公文庫), 1992
初出
『海』12巻7号(1980年7月号)

設定

舞台
港町のバア・カタルーニャ地方
アイテム
バアの壁に貼ってあるポスターの藍色の海
時代
挿話:不明
挿話中で語られるエピソード:1933年以前~1938年ころ

人物

ハコポ
ロドリゲスの友人。挿話中で語られるエピソードの話し手。
スペイン訛の男
聞き手。ロドリゲスの事件当時16歳。
夜のバーテン・若いバーテン
挿話の舞台のバアのバーテン。
東洋人・黒人の労働者2人・ユダヤ人の音楽家
バアの客。
アロンソ
挿話中で語られるエピソードの主人公。銀行強盗。
パブロ
銀行強盗の仲間。
パブロの妻
パブロの別れた妻。若い燕をつくって貢いでいる。
ロドリゲス
ハコポの友人。スペイン内戦で銃殺される。
ロドリゲスの妻
ロドリゲスの妻。
イサベラ
ロドリゲスの妹。

考察

挿話の場所と年代

本挿話は、アロンソが主人公のエピソードを、ハコポが語る形をとっている。語っている場所は港町のバアだが、「あんた、スペインにいったことがあるのかい?」「へえ、あっしはイタリアだとばかり思ってやしたよ」「スペインからやってきた連中ですよ」から、スペインとイタリアでないことだけは分かる。また、時代も、「お前は十五ぐらいか、あの頃」「十六だった」の記述から、スペイン内戦時に聞き手が16歳だったことは分かるが、それ以外の情報はない。

結局、挿話の場所も時代も不明とせざるを得ない。

ロドリゲスの事件の年代と場所

一方、挿話中で語られるエピソードのひとつであるロドリゲスの事件は、黄IIのビセンタの村のスペイン内戦時代のエピソードと同じものである。

馬でバルセロナにやってきたもんだから、ビセンタの村はバルセロナ近郊であることが分かる。バルセロナまで反乱軍が侵攻しているので、ロドリゲスの事件は1938年12月~1939年2月ころの出来事であろう。

銀行強盗の年代と場所

挿話中で語られるもう一つのエピソードである銀行強盗であるが、それで、アロンソは五年の務所暮らしよより、ロドリゲスの事件の5年以上前であることは分かるが、他には手がかりがない。「例のバレンシアの銀行さ」より、場所はバレンシアである。

まとめ

以上より、本挿話で語られるエピソードは以下のようになる。

  1. 1933年以前:アロンソが銀行強盗、逮捕される。
  2. 1938年12月~1939年2月ごろ:ロドリゲスの事件。
  3. おそらく戦後:ハコポがバアでアロンソの話を語る。

更新:2013.02