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夜警の眠り


書誌

シリーズ
青い場所からの挿話 VI
所収
『国境の白い山』中央公論社, 1984
『国境の白い山』中央公論社(中公文庫), 1992
初出
『海』14巻8号(1982年8月号):初出時のタイトルは「夜警たちの眠り」

設定

舞台
シアトル
アイテム
片岡慎治の青い画板
時代
私2が旧制中学1年の年・私1がアメリカに渡って3年目(1924年ごろ)

人物

私1
本文中では「私」。私2の父親。
私2の
本文中では「妻」。私1の妻。
私2
本文中では「息子」。私1の子。
安藤
シアトルの日本人会の顔役。
片岡慎治
画家志望でアメリカに留学。東北の旧家の出。
砂原トヨ
婦人帽の店で働いている若い娘。
砂原和三
トヨの父。
砂原の細君
トヨの母。病気で入院しなければいけない。
女工
七年前、片岡と知り合った日本人の娘。名前は書かれていない。
加藤
シアトルの医師。

考察

時代

療養所にいる妻や、今年中学に入ったという息子より、私2が旧制中学1年のときのエピソードである。ところが、たとえ役所に戻ることができなくてもより、私1は役所を辞めた後であるが、赤XIIIでは、私1が役所を辞めるのは私2が旧制中学4年の出来事として描かれており、4年以上合わなくなってしまう。

また、私1が役所を辞めた直後の挿話と思われる青IVは、文中の今イベリア半島に火の手をあげて燃えているあの激しい内戦より、スペイン内戦中(1936.7~1939.4)と考えられる。一方で、本挿話中のだんだん激しくなる排日法の制定この夏にも提出される排日法案は排日移民法(1924年移民法)と考えられるが、同法は1924年の成立であるので、10年以上合わなくなる。

これらから、本挿話で、挿話群の設定が大きく改められたことが分かる。

改められたひとつは私1が役所を辞めた時期で、これまで私2が旧制中学4年のできごととして描かれていたのが、旧制中学1年のことに変えられた。

もうひとつは暦年代の変更で、私2が旧制中学に入った年が、1924年ごろに改められた。私2は1910年前後に誕生したことになる。当初、赤I・IIでの年代設定で1920年ごろに設定されていた誕生年が、橙XIIでの年代設定で1915年ごろに繰り上げられ、さらに本挿話で1910年ごろに繰り上げられたことになる。この私2の暦年代と学年との対応は、後に青XIIでの年代設定によってさらに明確に語られる。


更新:2013.01